深夜、とある団地。 暗い道を一人の女が歩いていた。 「はぁ…残業疲れた…」 そんな愚痴をこぼしながら、彼女はイヤホンで音楽を聞いていた。 そのせいで、背後に迫る者の気配に気づくことはなかった。 「ルト、今日はあの女にしようか。」 「ワカッタ。」 男が指示を出すと、ルトと呼ばれたデジモンはその女を一飲みにした。 「ルト、進化できそう?」 「……ワカラナイ…。タブン…マダダメ。」 「…そっか。」 ━━━━━━━━━ 「人が消える団地?」 「そうなんだよ吉村!お前こういうの好きだろ?」 授業の合間の休み時間。同級生の一人がそんな話を振ってきた。 「へー。」 「あれ、興味ないのか?…もっと食いつくかと思ったのに。」 「なんでそんなふうに思われてんだよ俺…」 「だってこの前スマホでweb◯ー読んでたじゃん。」 「他人のスマホを覗くな!……で、どういう話なんだ?」 「なんだやっぱ興味あんじゃん。」 奴の言うところによると、この近くにある団地で数ヶ月前から住人の失踪事件が起きており、最近では付近で行方不明になる人間も増えているらしい。 「…そんだけ?」 「そんだけ。」 「幽霊とかUMAとかの類の話は?」 「うーん…俺は聞いてないな。」 正直、期待外れだ。あまり面白い話でもない。 「メルヴァモン、この話どう思う?」 『うーん…これだけじゃアタシにはなんともな〜。…でもこう言う話…大体デジモン関わってるんだよな…。』 「そうだよなぁ…」 ただデジモンが関係しているとなると、見過ごすわけには行かなくなる。 まあ、もっと何か超常的な事が起きているかもしれないし、調べてみる価値はあるかもしれない。 ───────── 十数時間後。 俺たちは件の団地にいた。 『ツカサ、アタシ達は出なくていいのか?』 「行方不明の犯人…まあいるならだけど…その犯人がデジモンなら、まず究極体連れのテイマーなんて襲わないだろ?」 つまり、俺は自分を囮にしている。 『そりゃそうだけど…気をつけろよ…』 「大丈夫だよ。毎日お前らに訓練つけられてんだ。並の敵には負けない。」 そう言ってから、俺は歩き始めた。 街灯が少ないような気もするが、至って普通の団地だ。 強いて言うなら人通りがない。窓に灯りがついているところも少ない。 深夜というのもあるだろうが、やはり人が減っているのだろう。 「──────…何か臭いな?」 硫黄のような臭いがする。側溝から臭ってるのかな…? そう思って一瞬歩みを止めたその瞬間、俺は何かの気配を感じて咄嗟に飛び退いた。 それと同時にさっきまで俺がいたところの地面から、いくつもの目と口があるデカい黒と緑のデジモンが口を開け飛び出してきた。 「ヨケラレタ…!?」 「なんだアイツ…俺を喰おうと…?」 「マズイ…ニゲナイト…!」 奴はそう言うと、少し小さい青いドロドロとした姿に変わり、側溝へと流れ込んで逃げ出した。 「進化…?いや退化か!追うぞ!リロード!メルヴァモン、サンドリモン!使い魔出せ!」 側溝を辿って走る。 「進化も退化もできるなら…もしかしたらテイマーがいるデジモンかもしれないぞツカサ」 「だったらわざと人を襲わせてるってことか?どうして…」 ここで行方不明になってる量を考えると…単純に殺すことだけが目的とかか? 「司!使い魔が怪しい人間を見つけたみたいだ!この先の公園にいる!」 考えても仕方ない。直接聞いてやるか。 ━━━━━━━━━ 「ルト!どうしたんだ!?」 「レン…シッパイシタ…アノオトコ…テイマー!」 「クソ…でも俺たちなら…!」 「へぇ〜、本当にテイマーがいるのか。」 ルトと呼ばれるレアモンとそのテイマー、有働レンの前に司は立ちはだかった。 「さっき俺、そいつに食われそうになったんだよ。どう言うことか説明してもらいたいところだな。」 「…うるさい!お前も食ってやる!ルト、進化だ!」 レンが叫ぶと、ルトはそれに呼応する。 「レアモンシンカ!!レアレアモン!!!」 再び無数の目と口を備える巨体へと進化したルトは、地響きのような咆哮を上げる。 「そっちはやる気ってわけか。なら俺も遠慮はしない!行くぞ!メルヴァモン、サンドリモン!」 司がクロスローダーを構えると、二人もそれに合わせて構えを取る。 「パートナーデジモンが二体も⁉︎しかも究極体って…なんなんだよお前!」 「いや、私は二人のペットさ。彼のパートナーはメルヴァモンだけだよ。」 「ペット…?」 「今はいいサンドリモン。話がややこしくなる。」 彼はサンドリモンを制する。 「よくわかんないけど…行けルト!あんな奴ら!全員倒せ!」 「ヴァァァァァ!!!」 レンの指示で、レアレアモンはメルヴァモンたちに襲いかかる。 「そんなトロい攻撃でアタシがやられるかよ!」 メルヴァモンは飛び上がり頭上に一撃を入れようとしたものの、途中で体を翻して司の元へと戻った。 「どうしたメルヴァモン?」 「アイツの身体…多分毒ガスが出てる!近づくとヤバいぞ!」 「だったらこうすれば良いだけさ!ノーブルファミリアーツ!」 そう言ってサンドリモンは使い魔達を飛ばしたが、レアレアモンの身体に触れる前に皆倒れてしまった。 「どうだ触れることすら出来ないだろ!ルトの力を舐めるな!」 レンは勝ち誇ったように笑う。 「なるほどな…あの臭いはガスか…メルヴァモン、考えがある。」 「何をするんだツカサ?」 「フレアでガスに引火させる。あいつの出してるのに可燃性のがあればだけど…とりあえずやってみるしかない。」 「ナニヲハナシテル!サッサトヤラレロォォォ!!!」 レアレアモンが司たちに迫る中、彼のクロスローダーが輝く。 「ギジャァァァ!!!」 勇気のデジメンタルから発せられる炎の柱がレアレアモンを吹き飛ばした。 それはメルヴァモンと融合し、彼女に火炎を司る力をもたらす。 「アーマーアップ!フレアメルヴァモン!」 「究極体がさらに進化…⁉︎クソ…なんでだよ…!ルト!そんな奴らに負けるな!」 「ヴォ゙ァ゙ァ゙ァ゙…‼︎!」 「行くぞっ!!」 フレアメルヴァモンは大剣を地面に突き立てると、火花を散らしながらレアレアモンの周囲に円陣を描いた。 「ファイアウロボロス!!!」 陣から燃え盛る邪神が現れ、レアレアモンに噛み付く。 「アツイ…!モエテェ゙…ァ゙…ァ゙…」 いくつもの口から吐き出されていた毒ガスに炎が引火した結果、レアレアモンの身体は内側から燃え上がっていた。 「ルト…ルト!!そんな…」 「レン…ニゲ…テ……ワタシ…マケ………」 「……ッ!………わかった。」 レンはその光景を呆然と見ていたが、ルトの言葉を聞いて逃げ出そうとしていた。 「おい待てよ。お前が失踪事件の犯人なんだろ?だったら…お前がすべきは逃げることじゃねえよな?俺だって喰われそうになったしなぁ!」 だが、そう易々と逃げ切れる状況ではない。司達が彼の退路を塞ぐ。 「レン………ワタシガ……モットツヨカッタラ…!」 テイマーのピンチに、レアレアモンの中で何かが目覚めた。 「ルト…!?もしかして…!」 レンの持つデジヴァイスとレアレアモンが今までに喰ってきた人間の情報がリンクし、姿が変化し始める。 「シンカ…スル!」 異形の巨体は人の形へ。 右腕は槍に、左腕は砲に。 「なんだ…あのデジモン…?」 「ルト…やった!ようやく進化出来たんだ!」 聖騎士オメガモンを模したような無数の目と口を備えたデジモン。 人間を喰ってまで手にした新たな姿、アバドモンコア。 「違ウ…」 「…え…?」 「違ウ…ワタシはコンナ姿にナリタカッタンジャナイ!」 それはルトが、”彼女”が本当に求めた姿ではなかった。 「おや、仲間割れかな?だったらその隙、狙わせてもらうよ。マリッジストライク!」 「ハッ!」 「──────!逸らされた…!」 サンドリモンの蹴りを容易くいなすと、ルトはレンに叫んだ。 「逃ゲテ!ワタシも後から追イカケル!」 「…わかった!」 彼はそれに従って逃げ出す。 「アイツ逃げやがった!」 「どうするツカサ!」 「俺がテイマーの方を追いかける。こっちは頼めるな!」 「任された!」 ━━━━━━━━━ 「待テ!レンに手を出サセルか!」 そう叫びながら走り去っていくツカサにキャノンを向ける敵の前に、私は剣を向けて立ちはだかった。 「こっちだってツカサに手を出させるもんか!!」 「右に同じく。まあ、彼はそう易々とやられるような人間ではないけどね。」 サンドリモンもまた、私の横に立った。 「コノ新シイ力で…オ前タチを倒シてレンも助ケル!!」 奴は右腕の槍を振るい、私たち二人をまとめて薙ぎ払おうとする。 「人を喰ってまで…!そんなに力が欲しかったのかよ!」 私はその攻撃を大剣の腹で受け止め、そう叫んだ。 進化し強くなりたいのはわかる。私たちデジモンは皆それを望んでいる。 そのために凶行に走るやつらがいることも知っていた。 だが、テイマーと絆を築き、すでに進化することもできているのに、そんなことをする意味がわからなかった。 「違ウ!ワタシは…力が欲シカッタんじゃナイ!」 「じゃあどうしてこんなことをしているのかなっ!」 サンドリモンが踵落としを叩き込もうとすると、敵は左腕で容易くそれを受け止めた。 「ワタシは…人間にナリタカッタ!」 奴はそう言って左腕をキャノンへと変え、サンドリモンを吹き飛ばした。 「うわあぁぁっ!!…足がっ!?」 彼女の足は強酸がかかったかのように溶けていた。レアレアモンの特性を受け継いで、毒性のある物質を撃ち出せるみたいだ。 クロスローダーを使えば治るだろうし、そこまで気にしなくてもいいだろう。 「人間に…?どうしてそんなことを!」 それよりも、私は相手が放った言葉の方が気になった。 人間になりたい。 私も……そう願ったことがあった。 「愛さレルタメダ!」 「愛…?……だったら人間になる必要なんてない!…私たちを…デジモンをデジモンのまま愛してくれる人間だっている!」 私は切り結びながら叫んでいた。ツカサが私に言ってくれた言葉を思い出しながら。 「…オ前タチに何がワカル!恵マレたオ前タチに!」 「恵まれた…?どういうことだ!」 「人間は…人間しか愛さナイ!」 その叫びは、深い悲しみを纏っていた。 「ワタシは知っテル…人間は人間すら拒絶スル!人間でスラないデジモンが…人間に愛さレル訳がナイ!」 「そんなこと…そんなことない!!」 私は刀身に炎を纏わせ斬り込んだ。 「ヒトの形をシテいなけれバ…オ前だって愛さレナカッタ!」 だが、相手の斬撃でそれは相殺され、私は吹っ飛ばされた。 体勢を立て直すこともできず地面に叩きつけられ、デジメンタルとの融合が解ける。 奴は私に近づいてくる。トドメを刺される…!そう思った。 「ワタシは人間にナッテ…レンと一緒に生きタカッタ…!レアレアモンの姿じゃ…抱キシメル事ダッテ…出来ナイ…!」 彼女は膝をつき頭を抱える。 私は言葉を失った。 彼女の悩みがとても他人事とは思えなかった。 もしも私がメルヴァモンでなかったら。 ツカサは私のことを今と変わらず愛してくれたのだろうか。 彼はミネルヴァモンより前の私の姿を知らない。一度は目を背ける事にした悩みが、心の奥底からモクモクと湧いて出てくる。 人の姿でなければ、お前は愛されなかった。 その言葉が、私の胸に深く突き刺さる。 そんな時、空に黒い影が見えた。 「まずいメルヴァモン!面倒なことになった!」 ツカサが慌てた様子で私たちに叫んでいる。あれは…一体…? ━━━━━━━━━ 「おい待て!」 「クソ…着いてくんな!!」 相手の男は建物の隙間を縫うように走って逃げていく。どうやら土地勘があるらしい。 「この辺で起きてる失踪事件、全部お前がやらせたんだろ!どうしてだ?誰でもいいから殺したかったのか!?」 俺は追いかけながら奴に話しかけてみる。 「違う!俺はそんな人間じゃない!」 「同じだろ!どっちにしろ人殺しだ!」 「同じじゃない!!!」 この発言が逆鱗に触れたのか、奴は逃げるのをやめて道端の石を拾い、俺に殴りかかってくる。 が、所詮はただの人間。俺の敵じゃない。 不慣れそうな動きの殴打を身を翻して避け腹に一発。 「かはっ……!」 奴は石を取り落とす。 「相手の力量ぐらい見極めろよ。お前、戦いの経験ないのか?」 「ないわけないだろ…俺は選ばれたんだぞ!」 「は?選ばれた?」 「俺たちは選ばれて世界のために戦った!それなのに帰ってきても誰にも称えられない!当然だよな…誰もデジタルワールドのことなんて知りやしないんだ!」 「世界のために…?」 「俺は選ばれし子供なんだ!これが証拠だよ!」 男は俺に古びた水色のデジヴァイスを見せる。神月さんが似たようなのを作ってたはずだけど…それよりもデザインが古めかしい。 「それでなんで人を!」 「ルトのためだ!!」 彼は話を続ける。 「ずっと二人きりで…俺のことをわかってくれるのはルトだけだった。だからルトの望みを叶えたかったんだ!人間になりたいって…。方法を探してたら…教えてもらったんだ…!人間を食わせればそのデータに影響されて人間になれるって!」 「誰がそんなことを…!」 「確か…デジモンイレ───────── その名前を言いかけたところで、男は空から音もなく現れた黒い龍に喰われた。 「なっ…!あの龍…デジモン!?」 彼が言いかけた名前には心当たりがあった。 デジモンイレイザー。ネオデスモンらネオデスジェネラルを配下に持ち、悪事を働くモノ、らしい。 要するにこれは、口封じなのだろう。 「インペリアルドラモン…なのか?」 黒い龍にクロスローダーを向けてみたが、アナライズが正常に動作しない。ってことは…純粋なインペリアルドラモンじゃないのか…? 奴は俺を一瞥することもなく、メルヴァモンたちが戦っているはずの方へと飛んでいった。 こいつの目的が俺の想像通り口封じならば、この男が連れていたレアレアモンもその対象のはず。 メルヴァモンが巻き込まれかねない! ━━━━━━━━━ 「まずいメルヴァモン!面倒なことになった!」 司がメルヴァモンの元に戻りそう叫んだのと、黒い四つ足の龍、インペリアルドラモン:インフェクションモードがその場にたどり着いたのは、ほぼ同時であった。 「ツカサ!…なんだあのデジモン!?」 「デジモンイレイザー関係だ!テイマーの男がやられた!」 「嘘ダ…レンが…?───────!!」 二人の会話を聞き、空を飛ぶインペリアルドラモンの方を見たルトは、その口元からはみ出た、すでに生気のない見慣れた顔を目の当たりにした。 「あ…あ……ア……ア゙ア゙ア゙ア゙!゙!゙!゙!゙」 彼女は叫んだ。身体中の口という口から。 その叫びを歯牙にもかけず、インペリアルドラモンは道端に噛み終わったガムを吐き散らすかのように、レンの亡骸を吐き出し地面に叩きつけた。 「口の軽い人間は、我が主に不要だ。粛清する。」 インペリアルドラモンが吐き捨てる様に言う。 「ヨクモ…ヨクモレンを!!!!」 ルトは右腕を槍へと変え、目の前の仇へと飛びかかっていく。 「ビンジェラード!!」 インペリアルドラモンはそれを難なくかわすと腕に噛みつき、吹き飛ばして地面に叩きつける。レンにそうしたように。 「クッ…!」 「お前も、不要だ。」 インペリアルドラモンの口に、エネルギーが集まり始める。 「まずい…!二人ともこっちに戻れ!」 「でもツカサは!?」 「俺は俺でなんとかする!」 彼はメルヴァモンとサンドリモンをクロスローダーに入れると、ブリウエルドラモンのデジメモリを使ってバリアを貼った。 「エクリプスノーン!!!」 「メガデス。」 空に向かって苦し紛れに放たれたエネルギー弾は無惨にかき消され、インペリアルドラモンの放った光弾が炸裂した。 「うおっ…!!バリア…保ってくれっ!!」 攻撃範囲を狭めることでエネルギーが圧縮されたメガデス。 ルトはモロにそれを喰らった。 ───────── 「なんとか…凌げたか…!」 かろうじてそれを防ぎ切った司が見たのは、焦土と化した周囲と、アバドモンコアが変化したデジタマが感染の効果によって崩壊していく様、 そして、不気味に唸り声を上げるインペリアルドラモン:インフェクションモードの姿だった。 「なんて奴だ…!」 身構える彼を一瞥すると、龍は飛び去った。 「アイツ………死んだんだな。」 メルヴァモンは司の隣で、誰に話すでもなく呟いた。 人の姿でなければ、お前は愛されなかった。 彼女の中では、未だルトのその言葉が渦巻いていた。 ━━━━━━━━━ デジタルワールド某所、”女帝”の御座。 「あ〜!勝手にどこ行ってたのインペリアルドラモン!」 「用事だ。」 「このデジモンエンプレスに仕えてる自覚ある!?せっかくもっと感染広げたかったのにぃ〜!」 駄々をこねるように喚く彼女を、インペリアルドラモンは、ただ、無感情に見つめていた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ルト レアモン→レアレアモン→アバドモンコア 有働レンのパートナーデジモン。彼とは10年以上の付き合い。 レンのパートナーとして共に戦ううち、彼に対して恋慕の情を抱き始める。 しかし、レンがデジタルワールドから戻ってきた後に社会に馴染めず孤立していく様を間近で見ていた為、 「人間は人間同士でも拒絶しあう。人間ですらない自分が彼に愛されることなど不可能。」という考えに至る。 その考えから人間になりたいとの願望を抱くようになり、それをデジモンイレイザーに利用され人喰いデジモンへと変貌してしまった。 しかし、進化できたアバドモンコアの姿は人間からはほど遠く、彼女の望むものではなかった。 最期にはインペリアルドラモン:インフェクションモードによって始末され、感染の効果でデジタマも破壊された。 現在はレアモン→レアレアモンの進化ルートだが、かつてはアグモン→グレイモン(青)のルートだった。 レンとの戦いの途中、メタルグレイモンへの進化に失敗し、レアモンから戻ることが出来なくなった。 しかし、それでもレンは彼女と共に戦い続けた。 ルトという名前はメルトからきている。これは二人が出会った際、まだ幼年期であった彼女の姿が、溶けているように見えたことからであるらしい。 有働レン 享年26歳・男・フリーター ルトのテイマー。 かつて選ばれし子供として戦った。その期間は15〜18歳の三年間。 デジタルワールドからの帰還以後社会に馴染む事ができず、周囲から孤立していた。 ルトが人間になる方法を探している際にデジモンイレイザーにコンタクトされ、ルトに人を襲わせるようになった。 その死体はメガデスによって消滅した。 ルトがレアモンから戻れなくなろうと、彼女はレンの唯一の心の拠り所であった。 彼がルトに対して持っていた感情は、一言で言えば、愛そのものであった。